6、ゼロスのたくらみ
「・・・・・あれ? ゼロス、何やってんの?」
外でプレセアと花をつんでいたジーニアスは、花ビンを探すために 小屋に入ったところで、ぽつんと かまの前にたたずむゼロスを見つけた。
ゼロスは横目でジーニアスを見ると、うっすらと口のはしを上げた。
「おう。ガキんちょ。いいところに来たな。ちょっと、おまえも手伝えよ」
「・・・・・手伝うって・・・・・何を?」
ゼロスのことだ。ろくでもないことを考えているにちがいない。 そう思ったジーニアスは、うたぐり深い目でゼロスをにらみながら、 ゆっくりと近づいていった。
ゼロスは、辺りを見回して人がいないのを確めてから、 こっそりとジーニアスに耳打ちした。
「オレさまはな、どーしても、水着のしいながほしいんだよ。 ペリットは、人の記憶が形になるんだろ?だったら、強く念じたら、 出来る確率も上がると思わねぇか?」
「その考え方は否定しないけど・・・・・」
そう言って、ジーニアスは目をそらした。
「ボク・・・・・協力するのはイヤだよ」
「バッカ! おまえなあ〜」
ゼロスは、にやりと笑って言った。
「オレさまに協力してくれたら、しいなが失敗しても、 出来るかもしれないだろ?・・・・・プレセアちゃんの・・・・・水着がよ!」
そのころ、プレセアは、ジーニアスがいつまでたっても帰って来ないので、
つんだ花を川にひたして、コレットやロイドたちと、ノイシュのブラッシングを楽しんでいた・・・・・
それから、どのぐらいたっただろう。
太陽が真上にさしかかったころ、その時はやってきた。
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アンナと父様-長いお話『ペリット物語』 |