みんなの聖☆バレンタイン

9、チョコいっぱいの気持ち


「ロイド〜!」

コレットが、息をきらしながら走ってくる。

まだかまだかとしびれをきらせていたロイドは、ようやく姿を見せたコレットに大きく手をふった。

「おお〜い、コレット!まってたぜ!」

コレットが、うれしそうに笑って、そして・・・・・こけた。

「ふみゃっ!」

「コレット!」

ロイドは、ぽーんと宙を飛んだ箱を空中ジャンプで見事にキャッチすると、着地した足で、そのままコレットにかけよった。

「コレット!だいじょうぶか?」

顔を上げたコレットは、無事に救出されたチョコを見てにっこりと笑った。とても、とてもうれしそうに。

「よかった〜・・・・・」

「よかったじゃねえ!お前、ひざをすりむいてるじゃねぇか!」

ロイドが耳元でどなる。

それも、コレットの心には あたたかくひびいた。

ロイドは、ポケットの中からくしゃくしゃのハンカチを取り出して彼女のひざにまきつけると、急にふきだして笑った。

「まったく・・・・・コレットのドジには感心するぜ」

「ごめんね」

コレットは申しわけなさそうにあやまると、早くも別のことに気をとられて顔を上げた。ロイドが手にもっている箱。コレットは、それをわたすために来たのだ。

「ねえ、ロイド、その箱、開けてみて」

「ああ、これか?・・・・・これ、オレに作ってくれたチョコだろ?」

「うん!」

大きくうなづいてから、コレットは、大事なことを先に伝えておくことにした。

「あの・・・・・それ、アンナさんが手伝ってくれたの・・・・・」

「へ?そっか。よかったじゃねーか」

ロイドは、まったく気にする様子もなく箱を開けると、中に入っているハート形のチョコを取り上げて、がぶりとかみついた。

「おお!うまいぞ、これ!」

「よかった〜♪」

「うん。うまいうまい。コレット、ありがとな!」

「・・・・・あ〜あ。やっぱり、ロイドは、コレットとお似合いだねえ」

なかむつまじい二人の様子を見て、しいなが あきらめたようにつぶやいた。

「・・・・・私、あきらめません」

プレセアが、じっとロイドを見て言った。

「ぼくだって!」

ジーニアスが、プレセアを見て言った。

「みんな、えらいえらい♪」

それぞれの想いに熱くもえる若者を見たアンナが、楽しそうに笑った。

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