みんなの聖☆バレンタイン

3、チョコ作り


「できた!」

最初に声をあげたのは、しいなだった。

「・・・・・・私も、完成です」

プレセアが、色とりどりのうすい紙を何枚も重ねて包んだチョコを手に取って言った。

「まあ、このようなものかしら?」

リフィルは、店で買った小さな箱にチョコをつめた。本当は自分で選んだ紙を使ってラッピングしたかったのだが、なにしろ手先が不器用だという自覚があったので、失敗をおそれて、最初から成功するように努力していた。

「コレットはどうだい?」

しいなは、まだもくもくとチョコレートをけずっているコレットを心配そうに見た。リフィルの不器用さをはるかに上まわるドジっ子のコレットは、何度もチョコをこぼし、こがし、そのたびに最初からやり直していた。

「・・・・・・手伝いましょうか?」

プレセアが声をかけたが、コレットはチョコまみれの顔をゆるませて笑った。

「ううん・・・・・私、自分で作りたいの。みんな、先に行ってわたしてあげて。男の子たち、まってると思うから」

アンナが、コレットをかばうように続けて言った。

「コレットちゃんは大丈夫。わたしがついているわ」

「そう・・・・・では、行きましょうか」

自分で決めたら周りが何を言っても聞かないコレットの性格をよく知っているリフィルは、しいなとプレセアをうながして部屋から出て行った。

「・・・・・ありがとうございます」

コレットは笑顔でアンナに礼を言ったが、その瞳には、なみだがうかんでいた。

「・・・・・ねえ、コレットちゃん」

アンナが、やさしく声をかける。

「・・・・・わたしね、思うの。心がこもっていたら失敗してもOK!・・・・・なんていうのはウソ。相手に本当に喜んでほしかったら、最高のものを作れるように努力するはず。・・・・・そのために周りの力を借りることは、別に、悪いことじゃないと思うの」

「・・・・・そうでしょうか」

コレットが、目をまるくしてアンナを見た。

アンナは、どんと胸をたたいて、にっこりと笑う。

「まかせて!力をかすわ♪」

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