「流石のシードルも、あんな術をくらえば……」
もう、立てないだろう。その上、リフィル先生の秘奥義まで決まったのだ。立てるはずがない。そう思ったロイド達は、肩の力を抜いて、談笑しようとしていた。
だが、未だゼタの目は険しい。それに応じるかのように、シードルはボロボロになり、肩で息をしながらも、ゆらりと立ち上がった。
「……嘘だろ」
ロイドは思わず、そう呟いてしまった。だが、これは紛れもない現実だ。
「くぅ……! どうやら俺は、お前達を侮っていたようだな……。だが、これで終わりだ!!」
シードルの闇のオーラがロイド達のみならず辺り一帯をも覆いつくし、その威圧と威力とで動きを奪った。マーテルも大樹とセレスを守るために、ゼタの助力を僅かに受けながら結界を張った。これそのものが攻撃でないということが、信じられなかった。
「か、身体が……動かない……?」
まるで、闇が意思を持って身体を雁(がん)字(じ)搦(がら)めにしているようだった。それほどに、指一つ動かさないほどの威圧感。これが……冥王の力!
「なんなの、あれは!?」
「いかん!」
マーテルとゼタが叫んだ直後、シードルは左目を血走らせながら狂気染みて猛り狂った。
「冥王剣・無明返し! 冥界の底に消えろぉぉぉ!!」
シードルの刀が振り下ろされた瞬間、ロイド達を強烈な衝撃波が襲った。直後、ユアンは咄嗟にリフィルを、大樹の下まで突き飛ばした。そして身体が急に沈み始めたと思ったら、足元に底なし沼のような、何も見えない闇があった。
「な、なんだい、これは……?」
「よもや、冥界への扉か……!」
「じょ、冗談じゃねぇぞ。こんな所で、死ねるかよ……!」
ゼロスは翼を羽ばたかせて闇から逃げようとしたが、どう足掻いても、闇に沈むことに変わりはなかった。
「……この感覚……怖い……!」
「やだ……やだよ……! ロイドォォ!!」
「う、うわああぁぁ!」
「お、おのれぇぇ!」
「くそっ……。どうにも、ならないのかよ……!」
ロイド達はずぶずぶと、為す術もなくその闇に沈んで行った。
「くっくっくっくっくっ……はっはっはっはっはっはっ!!!」
シードルは恍惚とした表情で高笑いをした。リフィルとマーテルはゼタに助力を求めたが、ゼタは聞こうとしなかった。
全員が胸元まで闇に飲まれた、その時。
「激! ビューティー派!!」
どこからか吹いてきた風の魔術が、ロイド達を闇から引きずり出して、そのまま吹き飛ばした。
「なにぃ!?」
シードルは突然の予想外の事態に、声を荒げた。
天使の翼を持っているユアンとゼロスとコレットは空中で身を翻し、鮮やかに、そして軽やかに着地した。
「い、今の声は……まさか!」
「声ぇ? 俺さまは、なぁんも聞こえなかったぜ?……ともかく、助かったぁ……」
残る5人は、ロイドとリーガルとしいなはひらりと舞って着地し、ロイドはプレセアを、しいなはジーニアスを受け止めた。
「みんな! 無事か!?」
「はい。ありがとうございます、ロイドさん」
「ああ、なんとかね……」
「しかし、冥王シードル。なんと凄まじき力だ……!」
「みんな! 無事でよかったぁ……」
互いの無事を確認している最中に、背後から凄まじい殺気が迫ってきた。
「そんな余裕が、貴様らにあるかぁぁ!?」
「しまっ……」
振り返った時、シードルは既にロイドの目の前に居た。鞘に納められた刀が、再び抜き放たれる直前に、ゼタの目が妖しく光った。
「ゼタビィィィィム!!」
それは、かつてロイドがゼロスを盾にして遮った技と、無理矢理弟子にされてからの修行の時に喝やお仕置きに使われた技と同じだったが、威力が桁外れだった。
「ぐわあああああぁぁぁああぁぁ!!」
シードルはラスト・ジャッジメントを受けた時以上の苦悶の表情を浮かべた。その後暫くしてから爆発が起き、キノコのような形の煙が雲のようにもくもくと立ち上った。
ゼタは間を開けず、瞬間移動してシードルとの間合いを一瞬で詰めた。
「宇宙最強魔王の力、とくと味わえ! オメガ・ドラァァァイブ!!」
ゼタはシードルを天高く打ち上げると、螺旋を描くように連続攻撃を仕掛けた。良く見ると数人(数冊?)に分身している。そして約十数秒にも及んだ連続攻撃の最後は、ロイドも喰らった本の角アタックだった。だがそれの威力も尋常ならざる物で、シードルは一瞬で地面に叩きつけられ、動かなくなった。
強いんだ……本なのに。
ゼタの実力を目の当たりにした一同は、マーテルでさえもそんなことを考えた。
「ぐはぁっ!!」
シードルは地に臥し、立ち上がろうとして四つん這いになると、口から血を吐いた。
その血の色は、赤かった。
ゼタはふわふわと地表近くに来ると、地に臥しているシードルを鼻で笑った。そして、話しかける価値すらないといわんばかりに、すぐに背(裏表紙)を向けた。
「さて。奴も、この程度では引き下がるまい。ここに碌な備えも無いことだし、帰るとするか。我の居ぬ間も、奴ら、下僕としての仕事を全うしておろうなぁ!」
ゼタはそう言うと、魔力を開放して浮かび上がった。シードルの邪気をも吹き飛ばすほどの強大な魔力に、改めて驚愕した。
しかも、あの口振りからすると、『自分がここにいては迷惑だから帰る』と言っている。ゼタが、周りに気配りできるような魔王だったとは。
「お、おい。あいつは……」
「決着は、奴に挑まれたお前達で付けろ」
やけに真剣な顔(表紙)でそう言うと、ゼタの魔力は空間を歪ませ、空に大穴を開けた。その影響か、セレスは眠ったまま呻き声を上げている。実際、ロイド達も気分のいいものではなかった。
シードルは地面に刀を突き刺して立ち上がり、狂気と憤怒と憎悪などに彩られた、凄まじい形相でゼタを睨んだ。
「お……のれぇぇぇ! 奴らに手傷さえ負わされていなければ、貴様などには……!!」
「魔王の言い訳は見苦しいぞ。冥王シードル」
「くっ……!」
ゼタの威圧に、シードルすら飲まれていた。いや、それ以前に、ゼタの言葉に言い返す気力すらないようだった。それを見てか、ゼタはロイド達を振り返った。
「では、去らばだ! 我が魔界に来たくなったら、いつでも来るがよい! ふはははははは!!」
豪快に笑いながら、ゼタは自らが作り出した空間の歪みに入っていった。暫くすると、ゼタの強大な魔力や空間の捩れの名残も消えていた。
これで、ようやく終わった……。
ロイドがそう思って方の力を抜いた瞬間、シードルが斬りかかって来た。それをユアンが間に入って止めて、舞うような動きで弾き飛ばした。
シードルは着地したはいいが、足元が定まらず、ふらふらとしていて、刀を再び地面に刺して、ようやく立っていた。
「シードル……。まだ、オレ達と戦おうってのか?」
ロイドが尋ねると、シードルは血走った目を向けてきた。これほどまでに疲弊して尚、目にはギラギラとした力強い光が宿っていた。
「当たり……前だ! てめぇのその……真っ直ぐで、直向(ひたむき)で、強い意志の宿った眼! 気に入らねぇんだよぉ……!!」
シードルは言い放つと、もう一方の刀を抜くと即座に投げて来た。反応が間に合わずロイドの顔に刀が深々と刺さるかと思われたが、コレットのチャクラムとジーニアスのウィンドカッターが、それを叩き落してくれた。
シードルが苦虫を噛み潰したような顔になったのを見て、ロイドは毅然とした態度で言い切った。
「オレ達は、アンタには絶対に負けない。仲間がいる限り、一人ぼっちのアンタには絶対に負けない!」
シードルは目を見張った。暫くの間、黙り込んだまま、そのままの姿勢で静止した。そして、弾かれた刀を魔力で引き寄せると、2振りとも鞘に仕舞った。
「……仲間などと、笑わせるな。俺の、くだらん昔の仲間なら、富や名声に目が眩み、無辜の魔族をも虐殺し続けた罪で……冥界の底だ」
こちらを見ずに、シードルは吐き捨てるように言った。
シードルはふらふらとした足取りでロイドへと歩み寄ると、突如、刀をロイドの鼻先に突きつけた。しかし、ロイドはまったく動じず、シードルが気に入らないと言ったその“眼”で、シードルの眼を真っ直ぐに見返した。ユアン達も、それを黙って見守っていた。
暫く後、シードルは刀を鞘に収めると、踵を返した。
「ゼタもいなくなっては、ここで貴様らと戦う意味も無い……。今日の所は引き下がってやろう。いずれまた……貴様らを殺しに来るかも知れんがな」
「その時はその時だ。オレ達は……」
ロイドが何か言おうとすると、ジーニアスが元気の良い声でそれを遮った。
「ドワーフの誓い第7番!」
『正義と愛は必ず勝つ!』
ゼロスとコレットが、ジーニアスに続いた。
「それは嫌いだって言ってるだろ、もぉ〜」
ロイドは3人の方を見てそう言った。そして視線を戻すと、そこには既にシードルの姿も、邪気も無かった。
ロイド……とか言ったか? 俺にも、あいつや、あいつの仲間のような仲間がいたら……或いは……。
「ふ……」
バカなことを。オレは、罪人どもの魂が集う冥界の王……シードルだ。
「消えた……」
「終わったん……だよな?
あまりにも唐突にシードルが消えたので、逆に気が抜けず、肩の力も抜けなかった。
「やっと終わったか。貴様らと関わると碌な事がないな」
ユアンがそう言うと、全員どっと疲れが出て、その場に座り込んでしまった。大樹をシードルの邪気から守っていたマーテルが、一人一人に「お疲れ様」と声を掛けてくれた。ゼロスはどさくさに紛れて手を握ろうとしたが、シードルに匹敵するほどの殺気に畏縮して、未遂で済ませた。
「ゼタも行っちまったか。ちょっと、寂しいかな〜」
地面に座ったまま、ゼロスは天を仰ぎ見ながらそう言った。確かに、あんな本……もとい、魔王でも、居なくなると少し寂しい。
「しかし、ゼタには最後まで、ペースを掻き乱されっぱなしだったよな」
すると、灯台レベル1000が突如、ロイドとゼロスの真上にインバイトされた。その際の衝撃で、眠っていたセレスも目を覚ました。
「うっぎゃああああああ!!!」
いや、セレスはむしろゼロスの悲鳴を聞いて目覚めたのだろう。
「ゼロス!」
「お兄様ああぁぁぁぁぁ!!」
しいなとセレスは一目散に、うつ伏せの状態で、左半身が潰されているゼロスの下に駆け寄った。
「ロイド!」
「ロイドさん!」
コレットとプレセアは、仰向けの状態で、下半身が潰されているロイドの下に駆け寄った。
4人が必死で灯台をどかして2人を救出しようとしているのを、リーガルとリフィルは呆れながら、マーテルとジーニアスは心配しながら、ユアンだけは滑稽そうに見守っていた。
「……ん? これは?」
リーガルは灯台に貼られた紙切れに気付いた。剥がして読んでみると、それには『ゼタ“様”だ! 赤いコンビ!!by永遠にして最強のRPG主人公・宇宙最強魔王ゼタ』と書かれている。間違いなく、本人からの物だろう。
「ボンジュール。貴方の恋人、ビューティー男爵……」
どこかで聞いたことのある声が聞こえてきた。だが、全員ロイドと、ついでにゼロスの安否が気懸かりで気付かなかった。
「地獄耳というか、なんというか」
「理不尽ね」
しいなとマーテルは、そう言って溜息をついた。ユアンは久し振りに、マーテルの溜息を見た。だが、こういうのは初めてだったか。
「フェアリーサークル」
リフィルが秘奥義で、ロイドとゼロスの傷を癒すと、全員ほっと一息をついた。
「あの〜、もしもし?」
そこにきてようやく、先程から話しかけている声に気がついた。振り返ると、そこには……。
「ん? あ! バイアス!」
ジーニアスが真っ先に気付き、その人物の名を言った。それに誰よりも機敏に反応したのは、他ならぬユアンだった。
「き、貴様! どうしてここにいる!? 契約期間は終わっているぞ!!」
ユアンが叫ぶと、バイアスは髪さっと掻き分けて、カッコつけながら喋り始めた。やっぱり、ゼロスみたいだ。
「私は本物ですよ。しかし、そんなに欲しいのなら、再開を祝して皆さんに私の分身をもれなく……」
『いらん』
全員から拒絶され、バイアスは激しく落ち込んでしまった。膝を抱えて、指で地面をなぞりながら「いーですよー。どーせ私なんか……」と、ぶつぶつと呟いてしまうほどに。異常なまでのハイテンションの彼しか知らないだけに、ロイドたちは何故か罪悪感を感じて、気まずい空気になってしまった。
「それで、どうしてここに?」
起き上がったロイドがそう尋ねると、バイアスは一瞬で復活した。立ち直りが早い、などというレベルではない。とにかく、いつもどおりの調子で、バイアスは喋りだした。
「この華麗にしてビューティフルな私が、最終回に出番が無いはずないでしょう?」
「??? 何を言ってるんだい?」
しいながそう言ったとおり、訳が分からなかった。しかし、バイアスは特に気にした様子も見せなかった。
「まぁ、あまりお気になさらず。それよりも、如何です? 今日は魔王・冥王シードル撃破を祝って祝宴というのは? 我が居城にご招待しましょう」
「え〜。ヤローに招待されてもなぁ」
それ以前に、どうしてシードルと戦っていたことを知っているのだろうか。まさか、見物していたのか?
しかしゼロスにそんな疑問符は無いらしく、バイアスとの会話を進めた。
「むちむちナイスボデーの悪魔もたくさんいますよ? 貴方好みの」
その言葉に、ゼロスは明らかに好反応を示した。
「人間っぽいのか?」
「ええ。しかも、しいなさん以上ですよ」
「よぉし! 行こうぜ、諸君!!」
最後の一言で、ゼロスはあっさりと前言を翻した。だが、声が大き過ぎた。しいなを始め、マーテルとプレセア以外の女性は、全員肩をわなわなと震わせていた。コレットでさえも。
「こんのぉぉ……エロ神子! 破魔涛符!!」
「ホーリーランス!!」
「……ピコレイン!!」
「天翔雷斬撃!!」
「エクスプロード!」
どさくさに紛れて、ユアンとジーニアスもゼロスを攻撃していた。加減はしているだろうが、奥義や上級魔術で攻撃しなくてもいいだろうに。
「……止めた方がいいのかな?」
「ロイドさん。この場合はああしていいと思います」
プレセアにそう言われたので、ロイドは取り敢えず傍観することにした。
「お、お兄様!」
セレスとマーテルだけは、ゼロスの身を案じていた。そして……。
「遅れんじゃないよ?」
「あなたこそ」
『魔浄光符!!』
「うっぎゃあああああああ!!」
しいなとリフィルのユニゾンアタックが炸裂すると、ゼロスはズタボロだった。それでも、生きてはいる。
「ちっ。まだ生きているか」
ユアンがそう言ったので、ロイドとセレスはぎょっとしてユアンを見た。冗談なのか本気なのか、分からなかった。
「お、お前ら……マヂでシャレになんねぇぞ……」
「キュア」
マーテルが癒しの法術を唱えると、ゼロスの傷は瞬く間に癒えたが、服はボロボロのままだ。
「お兄様、大丈夫ですか?」
セレスが心配そうに駆け寄ると、ゼロスは大袈裟に喜んで見せた。
「おお、可愛い妹よ。俺の味方はお前だけだ」
そう言って、ゼロスはセレスに抱きついた。この生命力と根性に、一同は感心しながらも呆れてしまった。しかし、バイアスだけは愉快そうだった。
「さて、どうします? 皆さん」
「やはり、ここは皆に縁の深い場所で、無事を喜び合いたいものだな」
バイアスの言葉に、リーガルが即座に提案した。流石はレザレノ会長だ。
「それ、賛成! 折角だからさ、ウチでやんないか?」
ロイドはリーガルの考えに乗って、そう提案した。ダイクの家は、このメンバー全員が頻繁に出入りしていたし、ゼロスやリーガルの屋敷ほど広くは無いが、堅苦しくない。
ロイドの提案に異を唱える者はいなかったが、準備が何もできていない。もうすぐ日が暮れてくる時間なので、明日に持ち越そうかという話しも出たが、バイアスが得意げにその悩みの解決方法を述べた。
「転移魔法なら、私にお任せを。買い物はバイトのプリニーが済ませてあります」
やっぱりバイトなんだ……。
そんなことを先ず考えながらも、バイアスが呼んだプリニーが見せてくれた買い物表を見た。意外にもまともな物ばかりだ。魔族と言っても、祝い事のやり方はあまり変わらないのだろう。
「それでいいんじゃないかい?」
「そうね。イセリアに帰るのも久し振りだし」
「僕も賛成!」
「私も〜」
「……私も、あそこは好きです」
「ふむ。ダイク殿に商談を持ちかける予定もあったことだし、調度良いな」
「俺さまも、たまには都会の喧騒からは離れたいしなぁ」
「私も、一度庶民の家というものを見てみたいですわ」
「……私は行かんぞ」
メンバーが次々に了解していったが、ユアンはバイアスとロイドの提案を突っぱねた。
「ええー! どうしてだよ!?」
ロイドが問いかけても、ユアンはまるで相手にしてくれない。そこへ、ゼロスが割って入ってきた。
「鈍いなぁ、ロイドくん。マーテルさまが行けないからに決まってるでしょうよぉ〜」
「……ふん」
どうやら図星らしく、顔を逸らした。そうだ。大樹ユグドラシルの守護精霊であるマーテルが、ここを離れるわけにはいかないのだ。それなら、ユアンがここを離れようとしないのも当然だった。
「ユアン、私のことは気にしないで、行ってきて。ね?」
「……騒がしいのが嫌いなだけだ」
マーテルが言っても、適当にそれらしい理由をつけて、ユアンはあくまで突っぱねた。すると、バイアスがまたも得意げに解決案を述べた。なんか、むかつく。
「そこのところも、このビューティー男爵にお任せを。彼女を連れて行く手立ても、しっかり用意してあります。大樹の守護に関しては、私も結界を張っておきますので、ご安心を」
実際にバイアスが結界を張って、プリニーを実験台にしてその能力を実証した。投げられたプリニーはかなりの威力で爆発したが、大樹には傷一つない。
「それはいいですわ。私も、マーテル様のお話を聴いてみたいですし」
「私も〜」
「僕も。ミトスの話とか……色々聞きたいし」
「クラトスのことも、聞いてみたいな。ユアンはなかなか話してくれないからさ!」
「いいでしょう? ユアン」
セレス、コレット、ジーニアス、ロイドら4人の無垢な視線と、マーテルの訴えかけるような瞳に、ユアンは遂に折れた。
「……仕方がない」
「そーこなくっちゃ!」
ゼロスは勢い良く、ユアンの背を叩いた。ユアンは馴れ馴れしいと怒っていたが、その様子を見ているマーテルはとても楽しそうだった。
「それじゃあ、ダイクさんの家にレッツ・ゴー♪」
『おー!』
コレットの掛け声に応じて、ロイド達はバイアスの転移魔法によって、一瞬でダイクの家に着いた。
「は〜はっはっはっはっはっはっはっはっ!!」
ちゃんちゃん♪
アンナと父様-お話スペシャル!『テイルズ・オブ・日本一 第3話 堕ちた勇者〜The prince of Darkness〜』 |