3、父の日パーティ
父の日のパーティは、アンナとロイド、そして、コレットとノイシュの4人でおごそかに開かれた。メインゲストは、ダイクと、クラトスだ。
「おう、おめえら、ずいぶん気がきくじゃねえか。こいつはイイ品だ」
ダイクは、4人から送られた新しいガーデニングキットをいたく気に入り、(特に、座った状態で移動できる腰かけに感動していた)ごちそうをかごにつめて、一人でガーデニングをしに行ってしまった。父はもう一人いるから、そっちでやってくれと言い残して。
「まったく・・・・・すまねえな。あいつ、いつもこうでよ〜」
ロイドが笑って言うと、コレットが、ロイドの背中をつついて言った。
「ロイド、ほら、ロイドからわたしてあげて♪」
「あ、あ、ああ・・・・・」
ロイドは、急に緊張(きんちょう)した顔になると、足元にかくしていた箱を取り上げた。それは、ひとかかえほどある四角い木の箱で、かなりの重さがあった。
「クラトス・・・・・・・・これ、あんたに・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
クラトスも、かなり緊張した面持ちだ。一体、何をわたされるのか。開けたら爆発でもするのだろうか。そんな疑いをかけているかのように、おずおずと、クラトスは、静かに箱を受け取った。
「さっそく開けてください〜♪」
コレットが、わくわくした様子でせかした。アンナも、何も言わずにじっと様子を見ている。しかし、その顔は、コレットと同じようにきらきらとかがやいていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失礼する」
小さくそう言って、クラトスは、木の箱のふたを開けた。そっと中をのぞいてみると・・・・・
「こ、これは!」
中に入っている物を見たクラトスは、しばらくの間あぜんとして言葉が見つからないようだった。
「・・・・・気に・・・・・・・・・・いったか?」
少し心配になったロイドが、そうたずねてみる。
「これは・・・・・・・・・」
ふるえる手をのばして、クラトスが最初に取り出したのは、こぶし大の大きさの鉄クズだった。よく見て鉄クズ、悪く見ても鉄クズ。ロイドには、そうとしか思えなかった。
しかし、クラトスは、鉄クズをかかげ、瞳をかがやかせてつぶやいた。
「・・・・・・・・・・キャブレターだな・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ラブレター?それが?」
ロイドが鼻で笑うと、コレットが、うでで体当たりしてきた。
「ロイド!ダメだよ、そんなこと言っちゃ」
「・・・・・だってよお」
くちびるをとがらせて、ロイドはむっとだまりこんだ。しかし、一方のクラトスは、ロイドの様子はまったく目に入っていない様子で、次々と箱の中の物を取り出しては満足そうにうなづいたり、ぶつぶつ一人言を言うのだった。
「こ、これは、シャアザクの右足!・・・・・・・・超合金か!」
アンナと父様-短いお話『父の日のプレゼント』 |