父の日のプレゼント

2、ここほれ、ロイドくん


「・・・・・・・・・・・・こんな だだっ広い砂漠のどこに、あいつが喜ぶモノがあるんだ?」

ロイドは、じりじりと照りつける太陽をうらめしそうににらんでため息をついた。

「う〜ん、この辺りだってリフィルさんが言ってたから・・・・・ねえ、ロイド。ちょっと、ここをほってみてちょうだい」

「ほるのかよ!!??」

ロイドがあんぐりと口を開けると、ふわふわと宙にういたアンナが、にっこりと笑って言った。

「うん♪」

「ロイド、やってみよ♪」

コレットが、ノイシュの背中につんだ荷物の中からシャベルを持って来て言った。

「うへえ・・・・・・・・・・・・」

「なんだか、楽しいねえ♪」

「楽しいのかよ・・・・・・・・・」

ぶつぶつ言いながらシャベルを受け取ったロイドは、首にかけていた手ぬぐいをほっかむり、ざくり、と、地面をほり始めた。はじめは、かき出した砂をよける手伝いをしていたコレットも、だんだん穴が大きくなったら、一緒に中に入って、横へ、下へとほり進めていく。

「・・・・・まったく・・・・・何も出なかったらうらむぜ、先生」

「出ました〜!」

ロイドがぼやいたのと、コレットが大きな声をあげたのは、ほぼ同時だった。

「アンナさん、見てください♪」

コレットがほり当てたのは、遺跡でよく見られる、つぼや、皿の破片だった。

「ああ、おしい。それはハズレなの。ええと、もっと、ごちゃごちゃして、ざらざらした、落としても割れないぐらい、かたいのがいいの」

「ごちゃごちゃして、ざらざら?あー。意味わかんねえ!」

言いながら、ロイドは、コレットに先をこされたのがくやしいのか、これまでとはうってかわって、勢いよく地面をほり始めた。

やがて、ロイドも、ガツンという音がして、シャベルを休めた。

「おっと!きたーっ!!!」

かべがくずれないように、しんちょうに物をほり出す。手に持った時はただの土くれだったが、ロイドが指でなでると、ポロポロと土が落ちて、中から、さびのついた、かたい鉄の部品のようなものが出てきた。

「あ、ロイド、それ!」

「えっ、これ?」

どう見てもゴミにしか見えないので足元に捨てようとしていたロイドは、アンナの声を聞いて、あわてて鉄クズをにぎりしめた。

「これって・・・・・ゴミ・・・・・・・だよな」

「わたしたちにはね♪」

そう言って、アンナは、とてもうれしそうに笑った。

「クラトスさん、遺跡にはきょうみなさそうでしたけど・・・・・」

コレットは、そう言って首をかしげたが、やはり、うれしそうにほほを赤くそめている。

「・・・・・・・・ふーん。・・・・・・・・へんなヤツ!」

ロイドは、手のひらに乗せた鉄くずを転がしながら、そうつぶやいた。

「はいはい。がんばって、あと5、6個、見つけてちょうだいね」

アンナが げきを飛ばす。

「は〜い♪」

コレットが、元気よく手を上げて、穴をほり始めた。

ロイドは、やれやれと空をあおいで、ひたいのあせをぬぐって、ため息をついた。

「・・・・・・・・・・・・・・6個かよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


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