プーさんのアルバイト

3、


「私は許可できぬ。そのようなことをして、なにが楽しいというのだ」

「そんなことないよ!キレイになるのは、全世界の女の子の夢サ!」

「しかし、私の体でなくてもよかろう!」

「・・・・・・・・・・じゃあロイド。いい?」

アンナが希望に満ちたまなざしを息子に向ける。しかし、ロイドは顔をしかめて大きな声をあげた。

「げ!オレ?パスパス!気持ちわりぃーって!」

「・・・・・じゃあ・・・・・ゼロスくんは?」

「オレさま?いいぜ〜、喜んで♪うっひょ〜♪美人妻とのネイルセッションってやつ〜?」

ゼロスが全身で喜びを表現すると、クラトスの顔色が一層くもった。

「おまえは・・・・・私の目前で、他の男に身をあずけようというのか?」

「だって・・・・・あなたもロイドもダメだっていうから・・・・・・」

うなだれるアンナを見て、プロネーマは さらりと言った。

「では、やはり主人が身を貸すのが良いのではないか?女性たちは、各自、希望のネイルがあるようだしのぅ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」








それは、とても見てはいけない光景のような気がして、道ゆく誰もが、目をふせて足早に通りすぎて行った。








「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・このことは、お互いの胸にのみ、とどめておきましょうぞ」

プロネーマが ごつごつとした指に向かって言うと、目の前におとなしく座ったクラトスが、かすかにうなづいた。

「ねえねえ。どんなもようを描いてもらうの?」

ジーニアスがクラトスに声をかけると、クラトスの口から低い声がもれた。

「えっと〜、親指はクラトスで、人差し指は私で、中指はノイシュで、薬指はロイドで、赤ちゃん指は〜どうしよっかな〜」

「・・・・・・・・・・ぶっ!」

笑い出すしいなのわき腹を、リフィルがひじでつく。

「なんでオレがお姉さん指なんだよ!!!」

ロイドが顔をまっ赤にして大きな声をあげる。

クラトスの中にいるアンナが何か言おうとしたが、クラトスは強引に口を閉ざし、一言だけ言った。

「・・・・・・・なんでもいいから、早くしろ!」

「こちらこそ、望むところじゃ」

ロイドたちを発見して、ディザイアンやレネゲードが襲ってきては、たまったものではない。

プロネーマは辺りの気配をうかがいながら、クラトスのつめに手をのばした。

(最悪! 最悪じゃ!)

プロネーマは、苦手な上司に気をつけるように忠告されていたことなどすっかり忘れて、今朝の占いがすべて悪いのだと自分に言いきかせた。

(あの、おしゃべりガモめ〜〜〜〜〜〜!おぼえておれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)



お・わ・り
20050820

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