スケ番☆リフィル先生

2、


「リフィルさん・・・・・すてきです!」

「とても強そうデスネ♪」

「・・・・・・・・・・」

リフィルは、すーすーと風が通る足をもじもじ動かすと、ふわふわと波打つ深い青色のスカートを手でおさえた。

「あ、あんまり見ないでもらえます?・・・・・って、みんなも、なぜ、起きているのかしらっ!?」

気がつくと、ねこんでいたはずのメンバーが全員起きだしてリフィルを見ていた。その顔は、どれもみんな、あぜんとしている。

「せ、せんせ〜・・・・・それって・・・・・」

熱で赤い顔をしたロイドが、さらに顔を赤らめて言う。

ロイドによりかかっているコレットが、楽しそうに笑った。

「まるで、生徒さんですね〜♪」

「し、仕方ないでしょう!この武器にはこの服を着てくれって、ジーニアスが言うんですから!」

リフィルは、手に持ったヨーヨーを見せて言った。

彼女が着ているのは・・・・・セーラー服だった!

「ジーニアスのケン玉に対してヨーヨーという組み合わせは分かるが・・・・・そのヒラヒラした服は理解できんな」

ユアンが、ダブルセイバーをかついで言った。

「いけません、二人トモ。今は、いっこくもハヤク、薬草をトリに行かないト・・・・・」

ミトスも大きくうなづいて言った。

「そうですよ。さあ、行きましょう!」


「それにしてもジーニアスは、どうして、そのような装備をしてほしかったんでしょう?」

ミトスが首をかしげてたずねた。

「・・・・・あの子が小さいころに読んだ昔話に、こういう英雄がいたの。女学生でありながら、ヨーヨーを武器に悪と戦うっていうお話でね。あの子ったら、ケン玉にはヨーヨーが似合うはずだって言って・・・・・おそろいの武器で一緒に戦いたかったみたいなんだけど・・・・・」

リフィルは、ひらひらとまうスカートのゆくえをさかんに気にしながら、やさしく説明した。

「リフィルさん・・・・・ヤサシイですネ」

タバサがにっこりと笑う。

「あら。あなたこそ。わざわざ私たちのために来てくれて、感謝していてよ」

ホーリーボトルを使ったので、一行はモンスターに出会うこともなく、終始なごやかなふんいきでしゃべりながらフウジ山脈へついた。(ユアンは、ずっとだまったまま、はなれた場所を歩いていた)が、そこからが問題だった。山頂へ向かう道がとてもせまいので、たびたびモンスターにつかまってしまうのだ。

「え〜いっ!」

リフィルは、ユアンと二人で前線で戦っていた。しかし、ユアンときたら、一度つっこんだら力つきるまで引こうとしないし、リフィルとの連携(れんけい)などまったく無視だし、まるで、パーティの戦いの流れを読もうとしないのだ。

(確かに強いけど・・・・・これじゃあ、援護(えんご)のしようがないわ!)

リフィルは、ぎり、と、くちびるをかんだ。

ただでさえ前線に出ていると魔法が使いづらいのに、ユアンは、魔法をかけても気がつかないようだった。

これがロイドやコレットなら、リフィルの魔法が完成するタイミングをみて 自分から動いて魔法にかかってくれるので、リフィルは、大まかにねらっていれば良かった。だから、それだけ呪文の詠唱(えいしょう)に集中できた。

しかし、今はどうだろう。自分自身 前線で戦いながら横目でユアンを追って、魔法をかけるために一度しりぞいてからも、あちこち動きまわるユアンを観察していないと魔法が外れてしまうのだ。

「シャープネス!」

今度こそとねらってはなった魔法がモンスターにかかってしまい、激怒したユアンが大声をあげた。

「貴様!何を考えている!」

「ああ、もうっ!あなたが動きすぎなのよ!」

とうとう、リフィルも大きな声をあげてしまった。

回復はタバサがアイテムを使ってくれているものの、ミトスは ほとんど魔法を使えないし、剣は持っていたが、戦いのうでは、コレットの方が強いと思うほど弱かった。

リフィルは前線へと走り、ごうかいにダブルセイバーをふりまわすユアンに向かって言った。

「だいたい、前線を守ってくれるはずのあなたが、なぜ、しょっちゅう後ろにまわって来るのかしら?タバサを かまいすぎじゃなくって?」

「う、うるさいっ!タバサは人間ではないのだから、気をつけてやらないといけないだろうが!」

「それではパーティ戦の意味がないでしょう?」

「貴様と問答する気はない!」

そう言ったユアンが勢いにまかせてダブルセイバーをふりおろした時、悲劇がおこった。

ぶわっ!

「きゃっ!」

すさまじい剣の勢いで、リフィルのスカートがはでに宙をまった。すらりと長い白い足があらわになる。

ユアンは、見てしまった。というか、見えてしまった。

見てはいけないものを・・・・・

一瞬、すべての時間が止まった。

風になびいたスカートが、ふわり、と、元ある場所に落ちつく。

ユアンがわれに返ると、青ざめた顔をしたリフィルが、わなわなとくちびるをふるわせていた。

「・・・・・見た・・・・・わね?」

「!・・・・・い、いや・・・・・」

リフィルの後ろにいたミトスとタバサにもしっかり見えてしまったのだが、リフィルのいかりは、目の前にいる青い髪のハーフエルフとモンスターにむけられていた。

「・・・・・あなたたち・・・・・ゆるさなくてよっ!!」

「ま、まて!話し合おう!」

「問答無用!セイクリッド・シャイン!!!」

「うわあぁあああっ!!!!!」


やがて、無事にアルテスタの元へ帰って来たのは、リフィル、ミトス、タバサの三人だけだった。

「ユアンさんは家の前で別れました。用事のとちゅうだったみたいで・・・・・」

ミトスは、そう説明して ほがらかに笑った。本当は、リフィルの秘奥義がきまる前に瞬間移動でにげてそれっきりなのだが、それは、三人だけのひみつだった。

「ねえさん・・・・・すっごくカッコイイよ・・・・・これからも、ずっとそのままでいてよ」

リフィルの姿を見て感動したジーニアスは必死に姉にたのみこんだが、リフィルは、こまったように笑って首を横にふった。

「・・・・・もう、コリゴリだわ」

「ソウですネ」

リフィルとタバサが、目を合わせて言う。

ミトスは、薬草を調合しながらひそかに思った。

(・・・・・だけど・・・・・いせきのもようって・・・・・一体・・・・・)




20050113

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