スケ番☆リフィル先生

1、


「・・・・・ミトスよ。一体どういうことだ?なぜ私が、お前の護衛(ごえい)をする必要がある?」

「まあまあ、ユアン。これも人助けだと思って。いいでしょ?ね?」

(うっ・・・・・)

ユアンは、とてもこわい笑顔を向けられて言葉につまった。

(たまたまオゼットを通りかかってみたら、とんでもないのにつかまってしまったな・・・・・)

ミトスは、薬草を取りに行くから、フウジ山脈へついて来いと言うのだった。

「確かに、薬草はフウジ山脈にしか生えないが、お前ひとりでじゅうぶんだろうが」

ユアンは、ななめからミトスを見て言った。

ミトスは目を細めて笑った。

「だって、ぼくはミトスだもの。一人じゃとても無理だよ。それにね・・・・・タバサもいっしょなんだよ♪」

「な、なんだと!?」


リフィルは、ねこんでいるロイドたちの看病をしながら、すっかりこまっていた。

オゼット熱。

ロイドたちが かかったのは、オゼットで有名な(?)カゼだ。

もともと、最初にオゼット熱でたおれたのはリフィルだった。ジーニアスとミトスが薬草を取って来てくれたおかげで熱は下がったが、今度は、他の全員にうつってしまったのだった。

「私ひとりで、フウジ山脈に行くしかないわね・・・・・」

リフィルは、意を決してつぶやいた。

「リフィルさん。まってください!」

「・・・・・ミトス?」

リフィルの前に、何かを決心した面持ちのミトスが立っていた。

「フウジ山脈へ行くのなら、ぼくが案内します!」

「あなたが・・・・・?いけないわミトス。あそこは、とてもきけんな場所よ。前に行けたのは、ジーニアスが一緒にいたからでしょう?」

リフィルはそう言ったが、ミトスは、にっこりとほほえんで言った。

「だいじょうぶです。一緒に行ってくれる仲間を見つけましたから」

「・・・・・?」

ミトスの後ろに立っている二人組を見たリフィルは、目をまるくして言葉を失ってしまった。

「タバサ・・・・・と、・・・・・ユアン!?」

「ヨロシクおねがいシマス♪」

「・・・・・・・・・・」

タバサが ぺこりと頭を下げた。

ユアンは、いかにも面白くなさそうにまゆをよせて そっぽを向いている。

ミトスは、あぜんとしているリフィルに言った。

「みんなの看病は、アルテスタさんがしてくれるそうです。ユアンさんは、たまたま通りかかったところを、話を聞いて、協力してくれると言ってくれました。リフィルさんは、ユアンさんとお知り合いなんですか?」

「え?・・・・・あ、・・・・・いえ・・・・・知り合いでは・・・・・前に、会ったことがあるだけで・・・・・」

リフィルは そう言うと、無理に笑顔を作った。

ユアンが、いらいらする気持ちをかくさずに言った。

「何をぐずぐずしているのだ。薬草を取りに行くのだろう?さっさと出発したらどうなんだ?」

「まあ、まってよ、ユアンさん♪」

ミトスに笑顔を向けられたユアンが、一瞬たじろいだ。

ミトスは、リフィルに向かって ていねいに言った。

「タバサがアイテムを、ぼくが魔法でえんごします。で、ユアンさんが前線で戦ってくれるそうなので、できれば、リフィルさんにも、なにか武器を持って戦っていただけたらと思うんですが・・・・・」

「武器・・・・・ジーニアスみたいに・・・・・?」

「そうです!ジーニアスのケン玉みたいに、はなれていても攻撃できる武器があれば、リフィルさんの身も安全だと思うんです♪」

「急に言われても・・・・・」

リフィルは、言葉につまってしまった。

一緒に考えていたユアンが、ぽろりともらす。

「・・・・・ムチ・・・・・は、どうだ?」

「イヤですっ!!」

リフィルは、まっ赤になって反対する。

「・・・・・にあうト思いますケド・・・・・」

タバサが首をかしげて言った。

「先生だから、チョークはどうでしょうか?あと、バケツとか、日誌とか♪」

ミトスが、にこにこ笑いながら言う。

「学校シリーズか・・・・・では、消火器はどうだ?」

ユアンは、自分の意見に満足しているように言った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ガッコウですか。デハ、銅像は、イカガでしょう?トテモ強いと思いマスよ♪」

プツリ。

リフィルの中で、何かが切れた。

「どれもこれも、イヤですっっっ!!!」

「・・・・・ね・・・・・ねえさ・・・・・」

「ジーニアス!?」

ふり向くと、いつの間にかジーニアスがいた。かべによりかかって、まっ赤な顔をして・・・・・。

リフィルは、あわててジーニアスにかけよった。

「寝てなくてはダメよ!」

「ね、ねえさん・・・・・アレを・・・・・」

「・・・・・!!」

ジーニアスの言葉を聞いたリフィルが、動きを止めた。

「あれ・・・・・を?」

リフィルは、何かに思い当たったようだった。

ジーニアスがこくりとうなづいて、ぐったりと体の力を失う。

「ジーニアス・・・・・分かったわ・・・・・あなたが、そう言うのなら・・・・・」

「・・・・・リフィルさん?」

ミトスが、心配そうに声をかける。

リフィルは、ジーニアスをだき上げると、くるりとふり向いて言った。

「私、戦います。・・・・・ジーニアスが用意してくれた武器で!」

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